Kubla Khan (S.T.Coleridge)



In Xanadu did Cublai Can build a stately Palace, emcompassing sixteene miles of plaine ground with a wall, wherein are fertile Meddowes, pleasant Springs, delightful Streames, and all sorts of beasts of chase and game, and in the middest thereof a sumptuous house of pleasure.

ザナドゥに怱必烈は周囲塀を以って繞らせる十六哩の平原を構え、 その中に壮大なる王宮を建立す。そこには豊饒なる草原あり、 美わしき泉あり、川あり、その他あらゆる種類の狩獵に供する 鳥獣住み、中央には壮麗なる歓楽の宮あり。



 この詩の制作年代は従来 その序文中にコールリッジが述べている所により
1797年の夏と信じられて来たが、彼の詩の編者「ハートリー・コールリッジ」
の考証により、1797年は彼の誤りであって、この詩は「クリスタベル」
第一部完成直後 即ち1798年の夏 田舎のある農家を借りて静養中書かれた
ものであることが明らかにされた。

 この詩は不思議な制作課程を持つ。精神の異常な興奮を鎮めるため調剤
された鎮痛剤(阿片)を服用し、その影響の下にあった午睡中 夢の中に現れた
幻想に基づいてコールリッジはこの詩を書いた。
即ち一切の意識的努力なしに、夢の中に自然に浮かび出た幻想に即し 覚醒後
直ちに筆を取り、夢そのままの姿を描いたのがこの詩である。

コールリッジの語る所によれば、午睡よりの覚醒直後 夢は尚消えやらず、
その中に幻想全体が夢そのままの姿において判然と彼の心に残っていた。
ここで彼は直ちに筆を取り、その幻想に即して書き続けていった。然るに
この詩の最後の1行

  And drunk the milk of Paladise.
  楽園の乳飲みたれば。

を書いた時 突然パーロックより来れる客人の訪問を受けた。会談時余の後
彼は再び筆を取り上げ 紙面に向かったが、幻想はその時石を投じた水面に
立つ小波の如く 彼の脳裏より全く四散し、その後書き続ける事が出来なかった
と言う。 かくてこの詩も亦僅か54行の未完成の断片として残されることと
なった―――。    「S.T.COLERIDGE」 より抜粋


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